個人が所有する居住用不動産を譲渡した場合、その譲渡から発生した譲渡所得に係る所得税については、所得税法で多くの優遇措置が用意されています。
例えば、3000万円の特別控除や税率の軽減などがその代表的存在です。
しかし、法人が不動産を譲渡した場合、法人税法にはそこまで優遇措置が用意されていません。
少ない中でも不動産の譲渡時に法人が使える優遇措置としては買換えの際の圧縮記帳の制度があります。
買換えの圧縮記帳とは、法人が保有する土地や建物といった不動産を売却し、別の土地や建物といった不動産を取得した場合、売却時に発生した所得が発生しなかったものとするという制度です。昔は無計画な都市開発が行われていたため、たくさんの住宅が立ち並ぶ中に工場が建設されるということがありました。
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しかしこれでは、公害の被害が大きくなるなどの問題が発生します。そのため工場が自主的に場所を移動してくれるのであれば、法人税があまり発生しないようにしてあげるというのがこの買換えの圧縮記帳の制度の目的です。
圧縮記帳は税負担を軽減する効果が少し特殊なものとなっています。
先ほどは所得が発生しなかったものとすると書きましたが、発生しなくなるのは売却時の話です。
買換えで取得した不動産を譲渡した際は、法人税が高くなることになります。
なぜ高くなるのか詳しい理由はここでは割愛しますが、このことから圧縮記帳制度は課税の減税効果のある制度ではなく、課税の繰り延べ効果のある制度であるとされています。
課税を繰り延べるだけでは特に意味はなさそうですが、ちゃんと意味はあります。
課税が繰り延べられるということは、法人税の支払いによる現金支出のタイミングが遅くなるということです。
借金の期限を延ばしてもらったが、利息は支払わなくてもいいという感じです。
そのお金を事業に使えば、より多くの利益を獲得することが可能となります。
不動産の買換えの際に利用できる圧縮記帳の制度は、長い年月で見ると節税効果のある制度とは言えませんが、法人にとって有利な制度であることは確かなのです。